
大学や専門学校で情報処理の勉強をして、IT企業に就職する。
これがIT業界に入る人の多くのパターンだと思います。まぁ中には別業界からIT業界に転職するという人もいるでしょうけど。
たくさんの夢や希望を抱き、お金をかけて勉強して入社した会社が実は人材会社だった…なんていう人も多いのではないでしょうか。
今回は、客先常駐の派遣SEになってしまったけど、転職して正社員になってよかったというわたしの話です。
派遣SEから正社員SEになってよかったこと
1.仕事がなくならない安心感
わたしは以前派遣SEをやっていましたが、正社員のいいところは、
- 仕事がなくならない
という安心感があることです。
どんな仕事でも仕事がないという場面はあると思いますが、客先常駐の派遣SEの場合は比較にならないぐらい仕事の供給が不安定です。
派遣SEだと数ヶ月単位で仕事が途切れますし、最悪の場合は次が見つからずに自社で待機。給料が大幅に下げられますし、それが長期化するとなると暗黙的に自主退職を迫られているようなものです。
正社員の場合は仕事がなくなっても他の仕事があるプロジェクトに異動したりします。仕事ができない!という人は事務に異動したりします。
仕事が本当に全くないという状況にはなりにくいのが正社員です。派遣SEの場合は人は商品ですので、事務とか経営にはどうしても回らないんですよね。
2.自分の居場所があるという安心感
わたしは現在自社製品・自社サービスを持つ企業に転職して働いています。
客先常駐の派遣SE時代のように、いろんな会社を転々とすることはなくなりました。
1つの会社に留まれる。自分の居場所があるというのはとてもうれしいです。『ここが自分の会社だ』と言える場所。
派遣SEが毎日出社するのは自分の会社ではありません。
大手企業に派遣されることもあったのですが、『ここが自分の会社だったらいいのになぁ…』と卑屈になることが多かったです。
大手企業に派遣されたとき、『正社員になりたいです!』と交渉したこともあります。結果はダメでしたが。
どうやら派遣から正社員になりたいという人は多いらしく、逆に派遣から正社員になるためのルートはないのだそうです。そういうショートカット的なものを狙うという魂胆がダメで、入りたいならちゃんと正面玄関から来いよ!ということ。
少し話は逸れましたが、わたしが派遣SEだったころは半年から1年ぐらいのスパンでころころと勤務地が変わっていました。片道2時間かけて通わなければならないところにも派遣されましたよ…。
変わらない通勤。これがストレス軽減に役立ってます。
3.良好な人間関係
人間関係の構築については人それぞれではありますが、わたしは正社員になれたことで良好な人間関係を構築できたと思っています。
派遣SEのころは人間関係を構築しても、派遣先が変わればリセットです。
はじめて派遣先にいくときには菓子折り持って挨拶に回ったりします。コストも時間もかけるわけです。
それなのに、短いと3ヶ月程度で派遣先が変わります。がんばって人間関係を構築したのにリセットされる。本当に面倒です。
正社員であれば一度作った人間関係はずっと継続します。何度も人間関係を構築し直さなければならないという面倒くささがないです。
ただし、これは裏を言うと、悪くなった人間関係もずっと続くということになります。
わたしの結論としましては、会社ので人間関係はほどほどに。問題が起こることも関係を深くしないようにしたほうが良いです。
趣味の友達がほしい、というときは、SNSといったネットを使ったコミュニティに参加するのが良いでしょう。
4.自社製品の開発という誇りを持てる
派遣SE時代、どんなにたくさんの製品を開発しても、成果を残しても、どうしても仕事に誇りを持つことができませんでした。もっというとやりがいがなかったです。
その理由は、作った製品が自分の会社のものではないからです。派遣SEはどこまでいっても、『お手伝い』でしかないんです。
わたしが以前勤めていた派遣会社。入社する時に先輩の言葉で、
- 自分の作った製品が店舗に並ぶ
- 店舗に並んだ商品を見るとすごく嬉しくなる
- 家族や友人に『これ、俺が作ったんだぜ!』と言えるやりがいのある仕事だ
なんて言っていました。派遣SEがやりがいのある仕事とか誇りがらうとか言うのはまったくのウソです。
わたしが作った製品はわたしの会社のものではありません。店舗に並ぶ商品はわたしの派遣先企業の製品です。やりがいなんてものはありません。
今はしっかり自社製品のある会社で働いていますので、家族に『これは俺が作ったんだぜ!』と自信を持って言えるようになりました。いつか子供が大きくなって、わたしが作ったもののすごさが理解できるようになるのが楽しみにしています。
まぁこんな感じで正社員の仕事は誇りも持てるし、やりがいも感じられるようになりました。
自社製品なので、派遣SEのころと比べると責任感も強くなりましたが、真摯に受け止められるようになりました。
派遣SEにはなるな!って話
IT企業の多くは人材派遣会社
正社員の良いところ、というか派遣と比べるとメリットしか無いようなものなのですが…。
ざんねんなことにIT企業の多くは人材を派遣する会社です。わたしの感覚では6割が派遣だと思っています。
なぜなら、1つのプロジェクトチームあたりに派遣SEがいつもだいたい6割ぐらいいるからです。それぐらいIT業界において派遣SEって多いんです。あなたもIT業界で過ごしてきのであればきっと理解できるはず。
派遣SEは正社員より立場も弱いし、現代の奴隷制のようにも思えてきます。
正社員なのに派遣される、派遣社員とほぼ同等
困ったことに、IT業界の派遣会社は雇用形態が正社員であるということです。
なので、普通に就職活動・転職活動をしていて、間違えて派遣会社に入ってしまうということがよくあります。
わたしとわたしの友人も、別になりたくて派遣SEになったわけではありません。派遣会社だということがわからなかったけです。
雇用形態は正社員としての入社でしたが、1ヶ月くらいの研修のあと客先に派遣されました。実践的な教育というのは派遣先で行われます。
契約期間が過ぎれば一旦自社に戻り、自社の営業と一緒に企業を回って面接です。『僕を使ってください!』と。
正社員なのにやっていることは完全に派遣です。雇用形態が正社員ということになんの意味があるのかわからなくなる時があります。
知識がなければ見抜けない
こういった派遣会社というのは、IT業界でそれなりに経験を積んでみないとわからないということがあります。
- 自社製品・自社サービスがない
- 企業規模に見合わず、『なんでもできる』、が売り
- アウトソーシングという言葉を多用する
今なら見抜く方法はわかりますが、新卒だとわからない。そして新卒から惰性で派遣会社に居続けてしまう。また、転職してもまた派遣かもしれない、と臆病になる。
派遣SEをやっていても、2~3年もすればIT業界についての知識は身につくはずです。派遣SEでいることには何のメリットもないので、できればすぐにでも転職したほうが良いです。
転職はリスクがあるので強くすすめるようなことはしたくないのですが、派遣SEだけは辞めたほうがいい。これがわたしの人生を通して言えることです。
まとめ
- 正社員は安定して仕事が供給される
- 仕事が供給されるので収入も安定する
- 勤務地が変わらないので通勤のストレスが減る
- 正社員は人間関係構築は1回で済むので楽
- 自社製品を作るという誇りとやりがいがある
今振り返ってみても派遣SEにメリットは何一つなかったなぁと思います。派遣SEのメリットは、使う側にとって都合が良い、ということだけです。
企業側は派遣SEは高給だとか自由な労働スタイルだとか、言葉巧みに人材派遣会社に誘い込んできますが、絶対に入らないほうが良いです。正社員のSEになろう!