
わたしは専門学校を卒業し、都内のシステム開発の会社に就職しました。
しかし、システム開発というのは名ばかりでした。
その実態はアウトソーシングというカッコイイ横文字で偽装された派遣会社だったのです。
(実際には偽装派遣会社ではなく、ちゃんと合法の会社です。ですが、正社員として雇われながらも99%派遣先で仕事していました。)
わたしが転職をした理由のひとつがこのIT業界によくある『正社員でありながら派遣社員』という業務形態からの脱出でした。
正社員なのに派遣社員ってどういうこと?
普通に考えたら、正社員で就職したら正社員。当たり前の話ですよね。
わたしが最初に就職した会社も表面上は正社員です。ですが、実際に仕事をし始めてみると派遣しかないんです。
- 研修が派遣先のお客さんから仕事を教わる。
- 客先常駐。
IT業界で働いている方であればわかると思うのですが、このような業務形態は非常に多いんですよね。
もしかすると、『なんだ、当たり前のことじゃん』と思われるかもしれません。ですが、年収を上げたい、安定がほしいと考える人にとってはだまされた気分なんです。
- お客さんと同じ仕事をやっているのお客さんよりはずっと年収が低い。
- 仕事がずっとあるわけではなく、定期的に契約の見直し、更新がある。
わたしが最初に就職した会社の説明会では、ソリューションだとかアウトソーシングだとか、お客様の夢を叶える製品を作るみたいなキレイゴトを並べていました。
- お客さんの職場で働くことをソリューションとか言うのか?
- 自社製品がないんじゃん…。
当時、新卒だったわたしに企業の本質を見抜く能力などないんです。きっと多くの人が1社目の就職は失敗しているのではないでしょうか。実際に、わたしの周りでも転職を1回は経験している人が8割りです。
就職してみてわかったことは、
- 中身空っぽの人売り会社
- 人売りの中間マージン搾取企業
ということでした。こういう会社がたくさんあるんですよ。IT業界には。
企業が奴隷のように派遣社員を使って大金を稼いでいると考えると腹立たしいのです。
正社員なのに派遣…問題点。真の正社員への転職
IT業界にはこのような派遣社員・外注を使うことが非常に多いです。なので、わたし自身が会社に騙されたというのもちょっと変な話ではあるんですよね。(騙された気分ではありますが)
このような業務形態で生きている企業・人間がいるので、完全に否定するわけにもいかないのですが、少なくとも私はかなり問題に思っていました。
- お客さんと同じ仕事しているのにもらえるお金が少ない。
- お客さんはボーナス出ているのに自分はボーナスカット。
- 契約更新で継続できないかもしれない恐怖がある。
- 派遣社員はすばやく切るための人員である。
お客さんと同じ仕事をしているのにもらえるお金が少ない
場合によってはわたしのほうが仕事ができるということもあります。
ですが、どんなに仕事ができてもがんばっても、お客さんのほうが給料を多くもらっています。
仲良くなったお客さんから年収を聞いてみたことがあるのですが、100万円ぐらい年収に差がありましたね。また、そのお客さんのお客さん(東証一部上場企業)はさらに年収が100万円上のようです。つまりわたしと比較すれば年収200万円の差です。
上流の企業に入れれば、それだけ年収も上がるということがよくわかる一面です。1階層下がるだけで100万年収が変わる、とも言えますね。
逆に言えば、1階層上がれば年収が100万上がるし、1階層上といっても中小企業から中小企業への転職です。おまけに仕事内容も同じ。無理ではないとわたしは判断しました。
ただ、中小企業から大企業への転職はむずかしいですね。有名大卒が新卒で入るようなところは、高卒で中小企業に入った人間ではちょっと入れなかった、落ちました。
なので、年収100万円アップというのは現実的なラインだと考えています。わたしは年収400万年から年収600万円になりましたが、元が低かったというのが最大の要因です。SEならよほど地方で働くとかでない限り、年収500万円はもらえるはずです。
お客さんはボーナス出ているのに自分はボーナスカット
ボーナス時期になるといつも憂鬱でした。なぜならわたしの会社はボーナスカットになることがよくあったからです。
客先常駐の派遣社員の場合、たいていの場合はわたしの会社の知り合いというのは一人もいません。周りはみんな知らない人というかお客さんです。
ボーナス日になると浮かれモードになっていることがよく伝わってきます。何に使う?何買う?みたいな話もチラホラ。
お客さんの1人がわたしにもボーナスは何に使います?なんて聞いてきたのですが、わたしは何も答えられませんでした。
派遣社員は下請けの下請けの…という、かなり下流の存在ですので、不安定です。このようにボーナスカットということがよく起こります。
わたしの会社は人を売って中間マージンを搾取するだけの会社ですので、利益率とかは低いです。なので、こういった派遣会社にいる間はボーナスがカットされる確率も高いんです。
契約更新で継続できないかもしれない恐怖がある。
少しうぬぼれが入りますが、わたしは仕事がすごくできない!というわけではなく、普通ぐらいのタイプでしたので、割りと長めに契約はしてもらえていました。それでも長くて2年ぐらいでしょうか?
ですが、派遣社員で職を転々としている人がすごく多いです。いつも3ヶ月ぐらいで帰ってくる人とかいますね。
いわゆる、こういうタイプは本当の意味で『仕事ができない』タイプです。
- 物覚えが悪い。
- 要領が悪い。
- コンピュータが苦手。
- エクセルすら扱えない。
なんでSEやってるの?っていうような人、いっぱいいます。もうイヤというほど見てきています。
ですが、こういったタイプはお客さんのところに、正社員の人でもいるんですよね。
- 派遣社員だと仕事ができなければ仕事をもらえない。
- 正社員だと仕事ができなくても何かしら仕事を与えられる。
これが派遣社員と正社員の大きな違いでしょう。若くて仕事ができるうちなら派遣社員というのもありかもしれませんが、人は年齢とともにパフォーマンスが落ちるものです。もしあなたが派遣社員ならば、なるべく早いうちに正社員に転職して安定を築いたほうが良いでしょう。
派遣社員はすばやく切るための人員である。
あなたはご存知でしょうか?派遣社員は下記の様に扱われています。
- 派遣社員は単純な労働力。
- 派遣社員の人件費(維持費)は正社員の約1/5。
- いざという時にすぐ切るための人材。
派遣社員というのは企業にとってすごく都合のいい人材なんです。
派遣社員というスタイルを好む人も最近は多くなってきたように感じますが、そのようなスタイルを選んでいられるのもせいぜい30代前半までです。結婚など家庭を持とうとすると何よりも年収・安定が重要になってきます。
給料が低い、ボーナスカット、いつ仕事がなくなるかわからない、そんな状況では30年~40年も仕事続けられないんですよ。
まとめ
- IT業界では正社員として入っても、実質派遣社員ということがよくある。
- 派遣社員は給料が低い、ボーナスカットもあるし、安定もない。
- 結婚などを考えると、一生派遣社員として生活し続けるのはむずかしい。
- 中小企業から大企業には入りにくいが、中小企業から中小企業への転職なら敷居は高くない。
- 中小企業から中小企業でも、年収を上げることは可能。
派遣社員としてわたしは10年近い年月を費やしましたが、本当にいいことはありませんでした。
たくさんの種類の仕事に携わることはできましたが、どれも熟練度は低いです。派遣社員には本当にむずかしいこと、責任あることって任されませんからね。
広く浅く、という知識は身についたと思います。転職時の面接のアピールには使えましたね。
きっと多くの方が転職しようかどうしようかと悩んでいるかと思います。そんな人のために、ほんのちょっと背中を押すことができたらうれしいです。