
システムエンジニアが転職をしたい!と思った時、その理由の1つに『今の仕事がイヤだ!』というのがあると思います。
わたしが転職をした理由のメインは年収が低いということでしたが、仕事内容に満足していたとも言えません。
転職前は客先常駐の派遣SEでいろんな企業を転々としていましたが、やっぱり中には『ソフトウェア開発なんてもう嫌だ!辞めたい!』と思うものもありました。
SEという職業が抱えている問題
仕事内容がむずかしい
システムエンジニアという職業は高度なスキルが必要なものです。
IT業界で働いていると、周りはプログラミングとか設計を普通にやっているんで当たり前のことに思えてしまうのですが、転職市場においてSEの市場価値の高さを考えると、『選ばれた人間のみが持つスキル』であるとわたしは考えています。
ゆえに、仕事内容もむずかしいものが多いです。
これはわたしの経験なのですが、仕事でむずかしいと感じたソフトウェア開発は組み込み系でした。
ソフトウェア開発の仕事なのにハードウェアの知識もかなり必要になりますし、大手企業が最先端の製品を開発するための測定機器を作る仕事とかだと、大手企業よりも先行して最先端技術を習得しなければなりません。
勉強しようにも日本語の資料なんてないし、英語の規格書を読むどころか、規格を決定する会議の議事録まで読まなければなりません。
しかも、大手企業よりも規模が小さい会社なので、1人でカバーしなければならない範囲がすごく広いです。
システムエンジニアはただプログラミングができる!というだけではできなくて、かならず何かしら他のスキルも併せて必要になるんですよね。会計ソフトなら会計の知識がある程度必要になるように。
プログラミングとかはなんとかなっても、そういったあわせて必要なスキル・知識が自分の苦手分野だったら…。転職というのも視野に入れていいのかと思います。
納期が厳しい
システムエンジニアの宿命とも言えるのが納期です。
誰もが体験したことはあるのかと思いますが、納期っていっつもギリギリか…間に合わないんですよね…。
システムエンジニアは、
- Q・クオリティ・品質
- C・コスト・費用
- D・デリバリ・納期
この3つを死守しなければならないのですが、その中でも納期が一番重要で、品質を落としてでも、赤字になってでも納期は守らなければならない、というケースが多いです。
全く動かないソフトウェアを納品して『仕様です』と言い逃れをする人の話はちょいちょい聞きます。
それだけ重要な納期。わたしたちシステムエンジニアはいつも納期に追われているんですよね。納期死守のためには残業もするし徹夜もするし休日出勤もします。(最近は割りとそういった企業は減りましたが。)
どんな仕事でもだいたい納期はあるのですが、ソフトウェア開発は難易度の高い仕事だし、それを満足にこなせる人間だっていつもかならずいてくれるわけではありません。スケジュールはほぼ必ずと言っていいほど遅延します。
『せめてあとすこしだけでいい。納期のプレッシャーから解放されたい…』
そう願わないSEはいないでしょう。きっと100人のSEがいたら99人は一度はそう思ったはず。
不具合発生による罪の意識
ソフトウェア開発で辛いのは不具合の発生です。
たまに、電車とか空港とかのシステムが止まったというニュースを見るとわたしもかなしい気持ちになります。
きっと裏では、
- 不具合の原因は?
- 誰が埋め込んだ?
といったやり取りがされ、エンジニアたちが各々調査を始めるのでしょう。
そして、真実に近づくに連れ…調査をする手が震える…。調べれば調べるほど…自分が犯人なのでは?という確信が強くなる…。
…結果、自分が犯人だったら死にたくなりますし、犯人でなかったとしても真実がわかるまでに心臓が潰れそうになります。
どんなに入念に調査をして作業をしても、ソフトウェア開発において不具合の発生はゼロにはできません。
本当はみんな『バグを憎んで人を憎まず』ということはわかっているのですが、不具合出すと辛いですよね。
SEの抱えている問題…ストレスやプレッシャーから解放されるためには?
『ソフトウェア開発から逃げたい!』と思う気持ちはわかります。ですが、IT業界から別業界への転職はおすすめしません。
なぜなら、未経験採用となってしまうため給料が大幅に下る可能性があるからです。
もし、IT業界から別業界に転職をして、仕事内容に満足できたとしても、今度は年収に不満を抱いてまた転職をするのではないでしょうか?職を転々として社会不適合者のようになってしまう姿が目に浮かびます。
ですが、IT業界の中でも、ソフトウェア開発の辛さからある程度は逃げられることはできると思っています。
社内SE
SEの転職野中でも人気なのが、『社内SE』です。
わたしの友人でも何人かがソフトウェア開発から社内SEに転職しました。その結果、仕事内容にはかなり満足しているようです。また、年収も下がった感じはありません。(上がったという印象もありませんが。)
仕事内容は一例ですが、
- 社内のアカウントサービスの運用(Active Directoryなど)
- 社外へシステム開発の発注
など。
開発者ではなく、どちらかというと事務寄りのポジションです。ゆえに、特別年収が高いわけではないです。定時退社できるのが魅力的だとか。
逆に辛いところは、社外へシステム開発を委託するとき、要求漏れがあったり、納品後バグがあると、責任が全部自分に来る、というところだそうです。
まぁソフトウェア開発とは違った辛さがあるってことですね。
web関係…というか自社製品・自社サービスのある企業
わたしは派遣SEとして企業を転々としてきましたが、自社製品・自社サービスを持った企業は良い意味で『ぬるい』です。
基本的にはダメなのですが、最悪の最悪、納期を延期することが可能だったりします。
製品の発売日を延期する。できれば、というか、本当はあってはならないのですが、ある程度日程・納期の融通が効くのが自社製品・自社サービスを持っている企業です。
自社製品・自社サービスを持つ企業というのはたくさんありますが、その中でもweb関係・自社サービスを持つ企業がわたしは良いかなと思います。
自社製品の場合だと、ハードウェアがからむと、不具合発覚後にリコールに発展したり、ファームウェアのバージョンアップをお客様にお願いしたりしなければなりません。出荷後バグは重罪です。
ですが、web系だとアプリはサーバ側に1つのみですので、すぐに修正可能です。修正時にサービスを止める必要もありませんし。
さらに言うと、webサービスって人の命とか、超重要なものに関わらないのである程度不具合発生時の罪の意識が和らぎます。
…ちょっと自分でも言ってることが無責任かな、と思いますが、ここはあなたもわたしも、お互いメンタル的につぶれないために正直に書いておきました。
テストエンジニア
最近になって見かけるようになってきたのですが、テストエンジニアという選択肢もあります。
テストエンジニアとは、他の企業が開発した製品のテストだけをするエンジニアです。
数名でプロジェクトチームを結成し、相手の企業に出向、テストを請け負います。
仕様書からテスト仕様を導き出し、テストの自動化などを検討して実施します。テストソリューションという言い方がしっくり来るかもしれませんね。
わたしが見た感じでは…ごく普通のソフトウェア開発者と同じように納期に苦しんでいるようには見えました…。
ですが、テストで不具合を発見したとしても、その不具合が自身で埋め込んだものではない、というのが救いかもしれません。そういった罪の意識を感じることがないってのはうらやましいです。
まとめ
- システムエンジニアはむずかしい仕事をやっている。
- ソフトウェア開発は納期死守で納期が厳しい。
- 不具合発生時の罪の重さに潰れそうな時がある。
- 社内SE、自社製品・自社サービスを持つ企業、テストエンジニアあたりが上記問題を回避できそう。
上述しましたが、やっぱり良くないのはIT業界から別業界への転職です。給料が下がる可能性が高いし、別業界へ転職したところで仕事についていけるかどうかもわかりませんし。
基本的に転職、中途採用は即戦力です。別業界へ転職して成功したという話も聞いたことがないです。
ソフトウェア開発はもう嫌だ!と思ったら、社内SEやテストエンジニアを検討してみてはいかがでしょう。
また、納期の辛さが問題なのであれば、自社製品・自社サービスを持つ企業であれば、ある程度やわらげることができます。